相続とは、亡くなった人の財産上の権利と義務をその親族などが継承する制度、と端的に説明することができます。この相続制度がある理由はいくつかあります。
まず私有財産制を前提として機能している社会の安定に寄与するため、という理由を挙げることができます。もしこの相続という制度がなかった場合、所有者のいない不動産は国庫に属することになりますし、動産は最初に手に入れた者がその所有権を主張できることになります。個人の財産であった不動産がすべて国の財産になるというのでは、私有財産制の意義が疑わしくなってしまいますし、動産が最初に手に入れた者の所有物になるというのでは、その財産目当てに誰かの死を待ち構えるといったことにもなってしまいます。以上のような不都合を回避し、亡くなった人の財産の継承を明らかにすることにより、私有財産制による社会の安定化が図れます。
次に第三者への不利益が生じるのを防ぎ、取引の安全を確保するため、という理由を挙げることができます。もし死によってその人に対する債権やその財産に対する権利がなくなってしますと、その人と取引をしていた者や債権者に不公平な不利益が生じます。そのために、相続によって債務や財産の所有権を明らかにすることにより、第三者に不利益が生じるのを防ぎ、取引の安全が確保する必要があるのです。
その他としては、相続した者の生活の助けになるためという理由を挙げることができます。相続する者は、亡くなった人の所得や財産に頼っていた人も多いため、そういうときには相続した財産が生活の助けになります。